事業者さんが書いてきた台本を見ていて、いつも「もったいないな」と思う瞬間があります。

1行目に、いちばん伝えたいことが書いてあるときです。

「〇〇駅近くの〜」「〇〇でお悩みの方へ〜」。気持ちはよく分かります。せっかく作る動画だから、早く知ってほしい。でもショート動画では、この1行目が再生回数を殺します。

私が支援している教育・オンラインスクール事業者のアカウントも、まさにこの状態でした。1本あたり1,000〜3,000回再生で頭打ち。台本の中身は悪くないのに、伸びない。

変えたのは中身ではなく、言う順番だけです。結果、2アカウントとも平均1万回・3〜5万回まで動きました。

この記事では、ショート動画の冒頭を「0.1秒・2秒・告知」の3区間に分けて、どこに何を置くかを解説します。当ブログの「冒頭」まわりの記事はこのページを起点にしているので、ここから読んでもらえれば全体像がつかめます。

ハヤラボ(HAYALAB)の自己紹介カード
もくじ[ タップで開閉 ]
  1. 1冒頭は3区間に分かれる
  2. 20.1秒は映像で決まる
  3. 3絞るほど届かない
  4. 4属性は後ろへずらす
  5. 5告知は動画の最後
  6. 6平均は1万〜5万回
  7. 7明日変える3つ

冒頭は3区間に分かれる

「冒頭が大事なのは分かるけど、結局どこをどう直せばいいの?」

冒頭を「なんとなく大事なところ」として扱っている限り、直しようがありません。まずは3つに割ります。

ショート動画の冒頭を0.1秒・2秒・告知の3区間に分けた図解

冒頭・中身・告知の3区間

私は台本を、次の3区間で見ています。

区間何で決まるか目的
0.1秒画面に映っているものスクロールを止める
2秒最初のひとこと視聴者を参加させる
最後告知・PR認知や来店につなげる

大事なのは、この3つが別々の仕事をしているということです。0.1秒は「止める」担当、2秒は「参加させる」担当。ここを混ぜると、どちらも中途半端になります。

そして多くの事業者さんは、いちばん最後に置くべき告知を、いちばん前に持ってきています。

再生1,000回台で停滞

支援に入った時点でのアカウントは、1本あたり1,000〜3,000回再生でした。

投稿は続いている。中身も間違っていない。それでも数字が動かない状態が続いていました。

伸びない原因は、中身ではなく順番にありました
台本の1行目に「誰向けか」が書いてあると、その他全員が離脱します。

0.1秒は映像で決まる

「ひとことめより前に、決まっている部分があるってこと?」

そうです。視聴者は音声を聞く前に、画面を見ています。ここは言葉ではなく映像の勝負です。

読めるか読めないか

別のアカウントで検証したときは、この差がはっきり出ました。

  • 伸びた冒頭 … 見た瞬間に読める。短い。でも即答はできない
  • 沈んだ冒頭 … 読むのに時間がかかる。理解に一拍いる

分岐は難易度ではなく、読むのにかかる時間でした。難しくてもいいのですが、「読み込まないと分からない」ものは止まりません。

0.1秒の判定基準は「一目で読めるか」だけです
内容の難易度は関係ありません。

深掘りは別記事へ

0.1秒のファーストビューについては、実例つきで1本書いています。映像そのものを詰めたい方はこちらをどうぞ。

この記事では、0.1秒で止まった人に何を言うか、つまり2秒以降を扱います。

絞るほど届かない

「でも、届けたい人に向けて言わないと意味がないのでは?」

いちばん多い反論です。そしてここが、いちばん誤解されているところでもあります。

場所で絞る・人で絞る

事業者さんの台本でよく見る型は、だいたい2つです。

  1. 場所で絞る — 「〇〇駅近くの〜」(店舗系に多い)
  2. 人で絞る — 「〇〇でお困りの方へ〜」

どちらも、狙った相手に届けるつもりで書かれています。ところが実際に起きるのは逆のことです。

該当しない人が「自分には関係ない」と判断して、離脱する。離脱率が上がると、アルゴリズムの評価が下がります。すると配信そのものが止まり、本来届けたかった該当者にも届かなくなる

絞り込みは、絞った相手にも届かなくなる
ショート動画は「見た人が最後まで見たか」で配信量が決まります。冒頭で対象外の人を切ると、母数が減る前に配信が止まります。ターゲットを狭く言うほど、そのターゲットに届く確率まで下がるのはこのためです。

告知が冒頭にある

この2つの型に共通しているのは、絞り込みそのものではありません。

知らせたいこと・認知させたいことを、冒頭に持ってきているという構造です。

つまり原因は「何を言ったか」ではなく「いつ言ったか」。なので直し方も、削除ではなく移動になります。

属性は後ろへずらす

「じゃあ、ターゲットの話は一切しないほうがいい?」

しないのではありません。遅らせるだけです。捨てる必要はありません。

告知を冒頭に置いた台本と最後に置いた台本の比較図

冒頭2秒は全員参加

冒頭2秒でやることは1つ。属性を伏せて、誰でも参加できる形で問いを置くことです。

たとえば学習系の解説動画なら、対象者を名乗りません。問題そのものを見せて、「この問題、解けますか?」とだけ言う。

これだけで、対象外だった人も「ちょっとやってみるか」で残ります。

よくある冒頭変えたあとの冒頭
〇〇でお困りの方へこの状況、どうしますか?
〇〇駅近くの当店ではこれ、何のお店か分かりますか?
〇〇向けの問題ですこの問題、解けますか?

属性は解説の直前

伏せたままにするわけではありません。中身の解説に入る直前で、ひとことだけ足します。

「これ、〇〇で頻出のパターンです」

ほんの数秒です。それでも、該当する人にとっては情報の意味が変わります。「じゃあ自分は解けないとまずいな」に切り替わるからです。

属性は捨てるのではなく、置く位置を後ろにずらします
冒頭2秒は全員向け、属性は解説の直前、告知は最後です。

後半ほど強く刺さる

順番を変えると、該当者への刺さり方はむしろ強くなります。

冒頭で名乗ると、該当者は「自分向けの広告だ」と身構えます。ところが先に問題へ参加したあとだと、反応が変わります。すでに手を動かしているので、そこで属性を告げられても逃げません。

参加させてから、意味づけをする。この順番だと、視聴維持率と当事者性が両方取れます。

告知は動画の最後

「PRを最後に回したら、見てもらえないんじゃない?」

ここが最大の逆説です。結論から言うと、逆です。

PRは最後が最短

一人でも多くの人に知ってほしい、来店してほしい。その気持ちが強いほど、告知は冒頭に置きたくなります。

でも冒頭に置くと配信が止まるので、告知を届けられる人数そのものが減ります

告知を最後に回すと、動画は最後まで見られやすくなります。配信が伸びる。結果として、告知に到達する人数は冒頭に置いたときより多くなります。

告知は減らすのではなく、後ろに動かす
PRをやめろという話ではありません。冒頭に置いた告知は「少ない人数に強く当てる」形、最後に置いた告知は「多い人数に軽く当てる」形です。認知の総量で見ると、後者のほうが大きくなります。

店舗でも同じ

この原則は業種を選びません。

「〇〇駅近くのカフェです」から始める代わりに、店内の様子や作っている工程から入る。店名や場所は最後に出す。順番を入れ替えるだけで、同じ動画の到達数が変わります。

平均は1万〜5万回

「実際、どれくらい変わったの?」

私が支援している教育・オンラインスクール事業者のアカウントで、実測した数字を出します。

2アカウントの数字

台本の順番だけを変えて、中身の解説は変えていません。

変える前変えたあと
アカウント①1,000〜3,000回で頭打ち平均 1万回再生
アカウント②1,000〜3,000回で頭打ち平均 3〜5万回再生
スパイク280万回、50万回 などが時々発生

案件の特定を避けるため、実施時期・アカウント名・ジャンルは非公開です。数字は私が運用に入って実測したものだけを書いています。

平均が動いたことのほうが重要だと考えています。280万回のような数字は運の要素が大きいのですが、平均の底上げは設計の結果だからです。

当てはまらない場合

この数字には条件があります。

上の2アカウントは、すでに投稿があって伸び悩んでいたアカウントです。順番を直すだけで動いたのは、母体があったからでもあります。

0から立ち上げるアカウントは別の設計が要る
フォロワー0・投稿0の状態から始める場合、順番の設計だけでは足りません。コンセプト設計と投稿本数を先に積む必要があります。0→1の立ち上げについては、リーチの作り方から解説した別記事を参照してください。

明日変える3つ

台本を全部書き直す必要はありません。次の3つだけ動かしてください。

  1. 1行目から属性を消す — 「〇〇の方へ」「〇〇駅の」を削る
  2. 冒頭2秒を問いに変える — 誰でも参加できる形にする
  3. 告知を最後に移す — 削らず、末尾へ動かす
この記事のまとめ
  • ショート動画の冒頭は「0.1秒・2秒・告知」の3区間で設計する
  • 冒頭で絞り込むと離脱が増え、狙った相手にすら届かなくなる
  • 属性は捨てず、解説の直前まで遅らせる
  • 告知を最後に回すほうが、結果的に多くの人へ届く
  • 教育・オンラインスクール事業者の2アカウントで、平均1万回・3〜5万回まで変化(実施時期は非公開)

順番を変えるだけなので、明日の1本から試せます。うまくいったかどうかは、平均再生回数で判断してください。

おしらせ

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冒頭の設計、切り口の作り方、アカウント全体の構成。「投稿しているのに再生が回らない」段階でつまずいている事業者さんは、ハヤラボまでご相談ください。
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