事業者さんが書いてきた台本を見ていて、いつも「もったいないな」と思う瞬間があります。
1行目に、いちばん伝えたいことが書いてあるときです。
「〇〇駅近くの〜」「〇〇でお悩みの方へ〜」。気持ちはよく分かります。せっかく作る動画だから、早く知ってほしい。でもショート動画では、この1行目が再生回数を殺します。
私が支援している教育・オンラインスクール事業者のアカウントも、まさにこの状態でした。1本あたり1,000〜3,000回再生で頭打ち。台本の中身は悪くないのに、伸びない。
変えたのは中身ではなく、言う順番だけです。結果、2アカウントとも平均1万回・3〜5万回まで動きました。
この記事では、ショート動画の冒頭を「0.1秒・2秒・告知」の3区間に分けて、どこに何を置くかを解説します。当ブログの「冒頭」まわりの記事はこのページを起点にしているので、ここから読んでもらえれば全体像がつかめます。

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冒頭は3区間に分かれる
冒頭を「なんとなく大事なところ」として扱っている限り、直しようがありません。まずは3つに割ります。

冒頭・中身・告知の3区間
私は台本を、次の3区間で見ています。
| 区間 | 何で決まるか | 目的 |
|---|---|---|
| 0.1秒 | 画面に映っているもの | スクロールを止める |
| 2秒 | 最初のひとこと | 視聴者を参加させる |
| 最後 | 告知・PR | 認知や来店につなげる |
大事なのは、この3つが別々の仕事をしているということです。0.1秒は「止める」担当、2秒は「参加させる」担当。ここを混ぜると、どちらも中途半端になります。
そして多くの事業者さんは、いちばん最後に置くべき告知を、いちばん前に持ってきています。
再生1,000回台で停滞
支援に入った時点でのアカウントは、1本あたり1,000〜3,000回再生でした。
投稿は続いている。中身も間違っていない。それでも数字が動かない状態が続いていました。
台本の1行目に「誰向けか」が書いてあると、その他全員が離脱します。
0.1秒は映像で決まる
そうです。視聴者は音声を聞く前に、画面を見ています。ここは言葉ではなく映像の勝負です。
読めるか読めないか
別のアカウントで検証したときは、この差がはっきり出ました。
- 伸びた冒頭 … 見た瞬間に読める。短い。でも即答はできない
- 沈んだ冒頭 … 読むのに時間がかかる。理解に一拍いる
分岐は難易度ではなく、読むのにかかる時間でした。難しくてもいいのですが、「読み込まないと分からない」ものは止まりません。
内容の難易度は関係ありません。
深掘りは別記事へ
0.1秒のファーストビューについては、実例つきで1本書いています。映像そのものを詰めたい方はこちらをどうぞ。
この記事では、0.1秒で止まった人に何を言うか、つまり2秒以降を扱います。
絞るほど届かない
いちばん多い反論です。そしてここが、いちばん誤解されているところでもあります。
場所で絞る・人で絞る
事業者さんの台本でよく見る型は、だいたい2つです。
- 場所で絞る — 「〇〇駅近くの〜」(店舗系に多い)
- 人で絞る — 「〇〇でお困りの方へ〜」
どちらも、狙った相手に届けるつもりで書かれています。ところが実際に起きるのは逆のことです。
該当しない人が「自分には関係ない」と判断して、離脱する。離脱率が上がると、アルゴリズムの評価が下がります。すると配信そのものが止まり、本来届けたかった該当者にも届かなくなる。
告知が冒頭にある
この2つの型に共通しているのは、絞り込みそのものではありません。
知らせたいこと・認知させたいことを、冒頭に持ってきているという構造です。
つまり原因は「何を言ったか」ではなく「いつ言ったか」。なので直し方も、削除ではなく移動になります。
属性は後ろへずらす
しないのではありません。遅らせるだけです。捨てる必要はありません。

冒頭2秒は全員参加
冒頭2秒でやることは1つ。属性を伏せて、誰でも参加できる形で問いを置くことです。
たとえば学習系の解説動画なら、対象者を名乗りません。問題そのものを見せて、「この問題、解けますか?」とだけ言う。
これだけで、対象外だった人も「ちょっとやってみるか」で残ります。
| よくある冒頭 | 変えたあとの冒頭 |
|---|---|
| 〇〇でお困りの方へ | この状況、どうしますか? |
| 〇〇駅近くの当店では | これ、何のお店か分かりますか? |
| 〇〇向けの問題です | この問題、解けますか? |
属性は解説の直前
伏せたままにするわけではありません。中身の解説に入る直前で、ひとことだけ足します。
「これ、〇〇で頻出のパターンです」
ほんの数秒です。それでも、該当する人にとっては情報の意味が変わります。「じゃあ自分は解けないとまずいな」に切り替わるからです。
冒頭2秒は全員向け、属性は解説の直前、告知は最後です。
後半ほど強く刺さる
順番を変えると、該当者への刺さり方はむしろ強くなります。
冒頭で名乗ると、該当者は「自分向けの広告だ」と身構えます。ところが先に問題へ参加したあとだと、反応が変わります。すでに手を動かしているので、そこで属性を告げられても逃げません。
参加させてから、意味づけをする。この順番だと、視聴維持率と当事者性が両方取れます。
告知は動画の最後
ここが最大の逆説です。結論から言うと、逆です。
PRは最後が最短
一人でも多くの人に知ってほしい、来店してほしい。その気持ちが強いほど、告知は冒頭に置きたくなります。
でも冒頭に置くと配信が止まるので、告知を届けられる人数そのものが減ります。
告知を最後に回すと、動画は最後まで見られやすくなります。配信が伸びる。結果として、告知に到達する人数は冒頭に置いたときより多くなります。
店舗でも同じ
この原則は業種を選びません。
「〇〇駅近くのカフェです」から始める代わりに、店内の様子や作っている工程から入る。店名や場所は最後に出す。順番を入れ替えるだけで、同じ動画の到達数が変わります。
平均は1万〜5万回
私が支援している教育・オンラインスクール事業者のアカウントで、実測した数字を出します。
2アカウントの数字
台本の順番だけを変えて、中身の解説は変えていません。
| 変える前 | 変えたあと | |
|---|---|---|
| アカウント① | 1,000〜3,000回で頭打ち | 平均 1万回再生 |
| アカウント② | 1,000〜3,000回で頭打ち | 平均 3〜5万回再生 |
| スパイク | — | 280万回、50万回 などが時々発生 |
案件の特定を避けるため、実施時期・アカウント名・ジャンルは非公開です。数字は私が運用に入って実測したものだけを書いています。
平均が動いたことのほうが重要だと考えています。280万回のような数字は運の要素が大きいのですが、平均の底上げは設計の結果だからです。
当てはまらない場合
この数字には条件があります。
上の2アカウントは、すでに投稿があって伸び悩んでいたアカウントです。順番を直すだけで動いたのは、母体があったからでもあります。
明日変える3つ
台本を全部書き直す必要はありません。次の3つだけ動かしてください。
- 1行目から属性を消す — 「〇〇の方へ」「〇〇駅の」を削る
- 冒頭2秒を問いに変える — 誰でも参加できる形にする
- 告知を最後に移す — 削らず、末尾へ動かす
- ショート動画の冒頭は「0.1秒・2秒・告知」の3区間で設計する
- 冒頭で絞り込むと離脱が増え、狙った相手にすら届かなくなる
- 属性は捨てず、解説の直前まで遅らせる
- 告知を最後に回すほうが、結果的に多くの人へ届く
- 教育・オンラインスクール事業者の2アカウントで、平均1万回・3〜5万回まで変化(実施時期は非公開)
順番を変えるだけなので、明日の1本から試せます。うまくいったかどうかは、平均再生回数で判断してください。
おしらせ
ショート動画の企画・台本、一緒に組みます
冒頭の設計、切り口の作り方、アカウント全体の構成。「投稿しているのに再生が回らない」段階でつまずいている事業者さんは、ハヤラボまでご相談ください。
X(@hayari_lab)のDMからもお受けしています。
